都会の真ん中に新オープンのエシカル空間。トリバコーヒーが愛される理由
コーヒー豆専門店として東京・銀座で2014年にオープンし、こだわりのある香り高いコーヒーから人々に愛されてきたトリバコーヒー。
2022年秋に惜しまれながらも閉店しましたが、2023年6月、東京駅からアクセスの良い八重洲ヤンマー東京B1Fに移転オープンしました。
旧銀座店はコーヒー豆の販売が専門でしたが、新店舗はカフェスペースを併設し、コーヒーとともにフード、スイーツを店頭で楽しむことができるように。
移転後も変わらず、都会のど真ん中にいてもどこか居心地の良いトリバコーヒー。実は、その秘密は、社を挙げて実践する、積極的なエシカルへの取り組みにありました。今回は、トリバコーヒーの魅力に迫ります!
店舗は、入りやすい設計でありながらも、優しい光にほっとする店内。今どきというよりも、重厚感ある雰囲気で、落ち着いてコーヒーを楽しむことができます。複合ビルの中にあり、働く人を中心に、人通りも多い立地であるにも関わらず、店内はゆったりとした空気が流れています。
その空間の背景にあるのは、前店舗のインテリアをできるだけ使用し、今ある物をうまく生かした店舗づくりです。
例えば、アンティークな雰囲気が漂うランプは、なんとコーヒーミルをアップサイクルしたもの。店内にはコーヒー機器を使用した照明がいくつもあり、個性豊か。
スタンディングテーブルにもエシカルな工夫が。
旧店舗で使用していたテーブルの板部分だけを切り取り、短い脚をつけ直してリメイクしています。外枠の木材も不要になった素材をアップサイクルしたものです。
ブランドに大小の変化が加わる度に使用する食器類も一新すると廃棄が出てしまうため、あえて最初からどんな状況にも馴染むアンティーク食器を採用したそう。
ひとつずつ違う絵柄がかわいい! どのお皿が使われるのかワクワクします。
すべてを刷新する必要はなく、足りない物だけを足していく。エシカルなスタンスでありながら、我慢ではなく楽しく工夫し、新店舗の準備にあたっていたそう。
コンセプトを統一して新品を集めなくとも、アップサイクルやセカンドハンド品たちが温かみやオリジナリティを生み出しているのです。
コーヒーはもちろん、フードも充実しているトリバコーヒー。ランチや軽食の利用にもぴったりのメニューが揃っています。
メニュー表は「V」はヴィーガン商品、「G」はグルテンフリー商品だとひと目でわかるよう工夫されています。
ヴィーガンの人も、そうでない人も一緒に飲食を楽しむことができることはうれしいポイント!
またミルク入りドリンクは牛乳以外に豆乳、オーツミルクに変更してもプラス料金がかからないので、植物性のミルクも気軽にオーダーできます。
訪問日の「本日のドリップ」(¥400)は、深煎りブレンド(レインフォレスト認証20%)は、バランスが取れた味わいで毎日飲んでも飽きない味。
グルテンフリーかつ植物性の原料のみでつくられたオリジナルレシピの自家製カヌレ(¥400)と最高の組み合わせです。毎日店内で焼いているだけあり、外はカリっと中はもちもち!植物性であることを感じさせないしっかりとした満足感があります。
紅茶が定番のチャイですが、トリバコーヒーではありそうで中々見かけないコーヒーをベースにしたコーヒーチャイ(¥680)が提供されています。
8つのスパイスを配合したオリジナルのコーヒーチャイは、ほろ苦いコーヒーにすっきりとしたスパイスが相性抜群でした。
サンドイッチからは、ヴィーガン仕様の3種のグリルきのこ&キャロットラぺ(¥900)を頂きました。グリルされたきのこがボリューム満点!しっかりとした旨味があり、お肉不使用でも満足感があります。
トリバコーヒーに根付くエシカルマインドの背景には、どんなストーリーがあるのでしょうか。
その秘密は、社をあげて取り組む「エシカル宣言15カ条」と「エシカルミーティング」にあります。
トリバコーヒーでは、地球にやさしい未来をつくるため「エシカル宣言15カ条」を2021年からスタートしました。トップダウンではなく現場スタッフからの発案でエシカルな取り組みを始めるようになったそうです。
例えば、「エシカル商品の開発に取り組む」、「牛乳はアニマルウェルフェアなもののみ使用する」など、一つひとつ、本当にエシカルな意味があるのか、“ウォッシュ”になってしまわないか、じっくり考えられています。
運営する会社は、トリバコーヒーの他、飲食店7ブランドを運営していますが、それぞれの店舗でエシカル宣言15カ条を作成し、毎年達成状況などを振り返った上で、内容の見直しが行われています。
トリバコーヒーを運営する会社では、本社と現場スタッフが参加する「エシカルミーティング」が週に1度開催されています。
初めの1年は、毎週担当者を決め、その担当者がテーマを持ち寄る形式で進められました。
例えば、「日本で起こっている環境問題について」、「飲食店業界と環境問題の関わり」、「飲食店としてエシカルを進める上での課題」、「トリバコーヒーとしてはどんなアクションプランが考えられるか」など、社員や飲食店を運営する一人として、様々な目線から会社が今できる取り組みを考えていったそうです。
そんなエシカルミーティングでは、社員からの意見がたくさん出ています。
例えば、スタッフへのエコカップ「stojo」の配布、生ゴミを乾燥させ焼却時のCO2排出量を抑えることができるフードドライヤーの導入、まかないに週一回「ミートフリーデー」を設け環境負荷の高い肉を食べない日をつくるなどのアイデアは、実際に社員から出たアイデアが採用されたものだそうです。
先導的に食品ロス問題や環境問題などに取り組んでいるトリバコーヒーですが、今後実現していきたいビジョンがまだまだあるそう。
店舗で出た生ゴミを自社の土地に還して作物を育て収穫し店舗のメニューに使用する循環サイクルの確立や、店舗から出るミルク類の紙パックを再生紙に戻し店内ポスターなどの販促物に活用するなど、アイデアは止まりません。
実現すれば、自社内のサーキュラーエコノミーモデルが動き出すこととなる構想です。
コーヒーやフードの品質や、店舗デザインだけでなく、私たち消費者の見えない背景までこだわるトリバコーヒー。お店の想いを知れば、一杯のコーヒーがもっと美味しく感じるはずです。
お買い物や観光の合間に、仕事や家事の息抜きに、トリバコーヒーのエシカルな空気に癒されてみては?
TORIBA COFFEE TOKYO
住所:東京都中央区八重洲2丁目1−1 YANMAR TOKYO B1F